運用会社の業務を探る「もしもあのファンドに10億円の設定がはいったら運用会社では何が起こってる?」
もしもあのファンドに10億円の設定がはいったら…運用会社の業務の裏側を動画で解説!
2023年12月20日に開催した、eMAXIS オンラインファンミーティングのプログラム「オンライン工場見学会」の模様をレポート形式でご紹介します。
投資家の皆さまからお預かりしているお金はどのようにしてファンドに組み入れられるのかご存知でしょうか?もしもインデックスファンドに10億円の設定がはいったら…投資判断をするファンドマネジャーから、銘柄を発注するトレーディング部、基準価額を算出するインベストメント・オペレーション部への連携が、運用会社のなかでどのように行われるのかを動画でご説明します。
皆さまからの疑問・質問を動画の出演者が回答!
「ファンドの基準価額はどう決まるの?」「インデックスファンドの運用で注力していることは?」皆さまからいただいた質問にお答えしました。
- 野尻
- 進行役 デジタル・マーケティング部
- 長洲
- インデックス運用部
- 上倉
- インベストメント・オペレーション部
投資信託は株式等と違って1日1回算出される基準価額によって取引されますが、その価格はどのようにして決まっていますか?
ファンドの基準価額は、組み入れ銘柄の時価評価を日々行って計算しています。具体的には、為替は投資信託協会が定める為替レート※をもとに評価を行っております。ほかの資産でいうと、株式の場合は国によって異なりますが、一般的に市場の終値で評価されていると考えていただければよいと思います。海外の市場については原則、前日の終値、日本では当日15時の終値という感じです。
※三菱UFJ銀行が公表しているTTM(対顧客電信売買相場仲値)。
海外の市場は前日の終値ということで、投資先の銘柄の価格を見たうえで買えるんじゃないかと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、ファンドの購入にはブラインドルールというものがあり、お客さまは購入する基準価額が分からない状態で取引されることになっています。あとは豆知識として、TTM(為替の仲値)は日本時間の10時に決まりますので、それをもとに基準価額が計算されるので10時から終値の間までに為替が大きく振れたら大変ですよね。
そうですね。為替が動く局面はたびたびあると思いますが、銀行が二次公表という形で仲値を修正して公表することがあります。基準価額算出は時限性が高い業務ですので、そのようなときは社内が慌ただしくなりますね(笑)。
インデックスファンドの銘柄の入れ替えやタイミングはどのようになっていますか?
たとえば、「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス」や「S&P500指数」※等は、指数の定期入れ替えが原則として年4回行われます。インデックスファンドは指数と連動することを目指しているため、指数の入れ替えタイミングでファンドの組み入れ銘柄の入れ替えも行っています。
※指数等の知的所有権、その他一切の権利はその発行者および許諾者に帰属します。また、発行者および許諾者が指数等の正確性、完全性を保証するものではありません。各指数等に関する免責事項等については、「当サイトで使用している指数について」をご確認ください。
インデックスファンドを差別化するために注力していることはありますか?
やはり注力していることは売買の頻度や銘柄数の削減による運用コスト削減です。インデックスファンドでは運用コストはマイナス方向に影響してしまいますが、レンディング※を活用することで、パフォーマンス向上につなげています。また、AIを活用した事前予測にも取り組み始めており、今後はさらに精度を上げていきたいです!
※レンディング:保有する有価証券等の一部を証券会社等に貸し付け、借り手から品貸料を獲得する取引のことで、一部のファンドで行っています。レンディングを行った場合に品貸料として得られた収益は、その一部を信託報酬として委託会社と受託会社が受け取り、残りの部分についてはファンドの収益として残すことで、ファンドと対象指数の連動性向上を図っています。
動画では先物か現物かを考えながら購入するものを選ぶとのことでしたが、目安はありますか?
設定や解約で出入りする金額がファンドの規模に対してどれくらい大きいか、影響度があるかで判断しています。株価指数先物のほうがコスト的には低いので、ファンドの規模に対して少ない規模であれば先物を取引して、その比率が高まってきたら一気に現物に入れ替えることで売買頻度を抑えるといったことはやっています。
ファンドのお金は受託銀行で保管されていますが、MUFGグループの信託銀行だけですか?
決してそのようなことはなく、弊社のファンドでも、グループ外の受託銀行で預かっていただいている資産はあります。
ただし、同じ資産、マザーファンドに投資するファンドであれば1つに集めたほうが規模は大きくなるのでコストメリットが大きくなりやすいです。
株式の配当金はファンドのなかでどのように再投資されているんですか?
ファンドでは日々たくさんの銘柄を保有しており、配当金等も日々はいってきます。その分はファンドの資産として組み入れられます。ただ、配当金をもらう権利はあるもののすぐにその金額がはいってくるわけではないので、株価指数先物を使うなど、なるべく投資比率を100%に近づけるようにすることで、指数に連動できるようこまめに調整しています。
大きなお金を動かすプレッシャーと戦う運用会社社員、息抜きの方法は?
ここまで実際の業務に関連していくつか質問しましたが、大きなお金を動かすことについて、運用会社の社員は実際どのように感じているのでしょうか?この機会に率直な意見や息抜き方法についても聞いてみます!
大きな金額を動かすなかで、毎日相当なプレッシャーやストレスがかかりますよね?仕事の息抜きはどうやってますか?という質問も来ていますがどうでしょうか?
ファンドマネジャーの業務への向き合い方が、お客さまからお預かりしているお金にダイレクトに影響してくるため、非常に責任感があり、その分やりがいを感じながら運用をしています!とはいえ、ストレスがすごく大きいかというと…そうでもないです(笑)。息抜きはランチの時間で、最近はオフィスが移転したてなので新橋周辺のランチを開拓しています。おいしいものを食べると午後の業務も全力で頑張れます。
僕の場合は業務の間の息抜きというよりは、平日と休日とのオンオフをはっきり切り替えるようにすることを意識しています。旅行が好きなので月1回くらいはどこかに行っているんじゃないかな。休むときはしっかり休んで、働くときは働くことを大切にしています!
運用会社で働く、社員2名からの回答でした。
今回のお話で運用会社に少しでも興味を持っていただければ幸いです!