特別対談 プロに聞く!長期投資の秘けつ
※本レポート内一部スライドの著作権はイボットソン・アソシエイツ・ジャパン株式会社、およびLIFE MAP合同会社に帰属します。本レポートでは、同社の許諾を得た上で掲載しております。無断転載はお控えください。
「eMAXISシリーズ」の合計純資産総額10兆円突破※を記念し、感謝を込めて、第4回 eMAXIS オンラインファンミーティングを開催しました。ここではプログラム「特別対談 プロに聞く!長期投資の秘けつ」の模様をレポート形式でご紹介します。
※イベント募集開始時点。将来の運用成果等を保証するものではありません。
当プログラムでは、イボットソン・アソシエイツ・ジャパン株式会社 CIO 小松原 宰明様と、LIFE MAP合同会社 代表 竹川 美奈子様をお迎えして、弊社常務取締役 代田 秀雄との対談形式で「長期投資の秘けつ」を解説しました。
- 小松原 宰明様
- イボットソン・アソシエイツ・ジャパン株式会社 CIO
- 竹川 美奈子様
- LIFE MAP合同会社 代表
- 代田 秀雄
- 常務取締役 マーケティング部門長
注記) 下記の内容はそれぞれ参加者個人の意見であり、当社の見解ではありません。また、将来の投資成果を保証等するものではありません。投資に関する決定はお客さまご自身のご判断と責任のもとに行っていただきますようお願いいたします。
※当ページでは、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)を、略称「オルカン」と呼ぶことがあります。「オルカン」は当社の登録商標です。
データでみる新NISA開始後の投信市場
要旨
・2018年のつみたてNISAの開始と共に、投信市場に入ってくる資金は積み上がってきた。
・今年、新NISAが始まって以降、資金の流入はさらに加速。ネット証券5社のNISA口座における積立買付額は、つみたてNISAが始まった2018年1月は1か月で約47億円、その後、2024年6月には3,600億円に到達し大幅に増加した。長期・つみたて・分散のうち、特に「つみたて」投資が世の中に浸透してきている。
・2024年1月~6月は、全世界株式と米国株式に資金が集中した。
・一方で、売れ筋ファンドの解約も多く、すなわちNISA非課税保有期間無期限化のメリットを享受できていないというデータもあり、設定だけでなく解約をいかに止め、投資を続けてもらえるかも考えることが重要。
多くの方が新NISAに関心を持ち幅広い方が投資を始めている、という印象を持っています。一方で、「オルカンを買っておけば値下がりしないのでは?」などと誤解されている方もいらっしゃいます。投資は当然リスクがありますので、そのようなリスクとどのように向き合っていくかを正しくお伝えしていく必要があると思っています。また、新NISAの魅力の一つは、含み益が大きくなるほど、非課税のメリットが大きくなる点です。正しい知識を広めていかなくてはなりませんね。
プロが考える下落相場でも長期投資をするコツは?
上下のブレがあっても長い目で見る
昨今、株式も為替も大きく動いておりますので、これを乗り越えて長期投資を実現するにはどうしたらよいか、というところをお話ししていきたいと思います。
こちらの資料で、ここ20年の各市場のリスクとリターンの関係を見ると、全世界株式、米国株式はハイリスク・ハイリターンという位置にかたまっています。ローリスク・ローリターンを示す位置には債券があります。長期的に見ればリターンが高ければリスクも大きく、リターンが低ければリスクも低いということです。
全世界株式の場合の推移を見ると、2000年~2003年の3年間にわたって45%下落しました。また、2007年~2009年にはリーマン・ショックで暴落し、約1年半にわたって55%下落しています。ですが、こうなったときも投資を継続していれば、将来的には何十倍というリターンになる可能性があるわけです。どうすればやめずに続けられるのか、お二人のご意見を聞かせてください。
相場に下落はつきものと理解する
下落リスクへの備えは、一言でいうと「敵を知り己を知れば百戦危うからず」です。
投資対象である株式、債券などの過去の動きを知り、理解することが大切です。相場に下落はつきものでずっと一直線で上がることはない、下がることはある、と分かっていれば、下落に備えられるため怖くありません。重要なのは、下がった局面で慌てて「狼狽売り」するのは非常にもったいないと認識しておくことです。
どこまでの損失に耐えられるか、「己を知る」ところですが、自分が負えるリスクや損失の水準に合わせて、投資対象や投資金額を考えることが大切です。
投資の鉄則
・慌てず騒がず焦らず、長期分散投資…自分のリスク許容度に合わせた投資が必要
・桃栗三年柿八年…しっかりと果実を育てていくことが重要
・果報は寝て待て…投資をしたら忘れてしまうくらいがよい
上がったら売る、下がったら慌てるということをせず、ゆったりとした気持ちで長く持ち続けることが、下落への備えだと思います。
コツコツ投資を続ける7つのヒント
これまでのお話を聞いて、私からは、どうしたら長期投資を続けていけるのかなという「コツコツ投資を続けるヒント」を7つ申し上げたいと思います。
※上記はご参考としてご提示するものであり、全ての投資家に当てはまるものではありません。
1 事前の準備が大事!
事前の準備が一番大事です。たとえば地震が来てゆれている段階で、「避難経路はどこだっけ?」といっても本来は遅いものですよね。投資も同じで、「自分はどこまで耐えられるか?」などを事前に考えて心しておくことが大切です。
2 戻る場所を作っておく
相場の変動に感情がゆれるのは当然のこと。戻る場所として、投資方針書を作っておくのがよいと思います。例えば、取材したブロガーさんのひとりは投資歴15年ですが、コロナショックで一時的に資産が30%目減りしドキドキしたそうです。けれども(自分が作成した)投資方針書を見返すことで、投資を始めたときの方針や過去の変遷を思い出し、気持ちを鎮めて続けられたとのことでした。
3 現状把握
相場の変動で夜も眠れないという場合は、リスクの取り過ぎといえます。まずは、手元にお金がどれくらいあるか、万一に備えるお金が確保できているかを確認。それ以外のお金は投資に回す分と回さない分に振り分けて、投資に回すお金のなかでどのようなポートフォリオを組むかを考えましょう。
「リスク許容度」=どこまでなら下がっても耐えられるか?については、経済的な許容度と、ドキドキしてしまう心の許容度の2つがあります。最初のころは10万円の変動でもドキドキしていたものが、数百万円でも気にならなくなってくることも。経験を積むことで心理的許容度が広がっていきます。
4 静かに過ごす
事前に準備をしていても、相場の変動に動揺してしまう場合は、静かに過ごしましょう。具体的には、見ない、忘れる、本業に打ち込むのがおすすめです。
5 価格ではなく、価値に注目
価格ではなく、価値に注目してほしいということです。本来、投資では「実体としての価値」に着目し、その「価値」が長期的に増えることを見込むわけですよね。そして、長期的にみれば株価は「実体としての価値」に収れんします。であれば、長く持つことは大事です。
6 自動化・ルール化
そうはいっても、人間は感情に流されがちなので、下がったときにも自動的に買い付ける仕組みを作っておくとよいでしょう。自分(の行動)を信じるのではなく、自分が作ったルールを信じて続ける方が良いかなと思います。
7 話せる仲間を持つ
下がったときは不安になるので、誰かと話して落ち着きを取り戻しましょう。私は「コツコツ投資家がコツコツ集まる夕べ(東京)」という交流会を2010年から続けていますが、なぜ始めたかというと、リーマン・ショックのときに積立をやめてしまう人が多かったからです。何かあったときに集まれる場や、話せる仲間を持つとよいと思います。
話し合える仲間・コミュニティを持つことの大切さ
竹川さんのおっしゃる通り、話せる仲間を持つことはとても重要です。リーマン・ショックのときに投資をやめることなく継続している方の多くの方から、「仲間がいた」「仲間の支えがあった」という声が上がりました。私たちとしても、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」も「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」も、非常に多くの方に保有していただいていますので、その責任として、その方々に続けることが大切なのだと互いに発信ができ、支え合うコミュニティの仕掛けを作れないかと考えています。
NISA制度が始まりましたので、多くの皆さまに投機ではなく、適切な投資を行っていただきたいと思いますし、投資によって日本国民の多くの方が幸せになることを願っています。我々も全力でサポートし、お茶の間にアセットアロケーションの考えが届くように、一緒に頑張っていければと思います。
インデックス・ファンドを持っていると株価指数に投資しているイメージがあり、無機質に見えますが、株価指数を構成するのはたくさんの企業です。皆さんは投資信託という器を通して、会社の株に投資をして、会社のオーナーになっている。その先では実体のある企業が日々努力を重ね、売上や利益を上げてオーナーにリターンを還元する。そうしたイメージを描ければ、価格だけに振り回されなくなると思います。
もうひとつ、やはりいろいろなコミュニティがあるとよいと思います。自分に合いそうなところへ出向いて気軽にお話をする、そういう場を見つけていただけるとよいですね。
竹川さんのnote「コツコツ投資家さんインタビューまとめ」はコチラ
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お二方、本日は本当にありがとうございました。
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・NISA口座は、金融機関を変更した場合を除き、1人につき1口座しか開設できません。
・NISAは販売会社で非課税口座を開設する等、一定の条件に該当する方が対象となります。また、投資対象商品は金融機関毎に異なります。詳しくは、販売会社にお問い合わせください。
・NISA口座で買い付けた有価証券を売却した際に譲渡損失が生じても、ほかの特定口座や一般口座での譲渡益と損益通算をすることや、繰越控除をすることはできません。
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